コラム

システム1とシステム2

ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』-あなたの意思はどう決まるのか?-を読み始めた。
人が意思決定するときのほとんどはシステム1という自動反射・反応によってなされる。
これをヒューリスティックともいう。
それに対してシステム2が働くときは、自動反応できない時、ヒューリスティックでは意思決定できない課題に直面した時で、システム2で「熟考」することになる。
システム1は反応・反射だからスピードが早い(ファスト)のに対してシステム2は論理思考だからゆっくり(スロー)になる。
もちろんここで言う反射は熱いものに触った時に手を引っ込める、文字通りの反射の意味ではない。
システム1は自動的な思考といえる。
そして、人の意思決定の多くはシステム2を経ずにシステム1で行われることが多いとトヴェルスキーとの共同研究でカーネマンは明らかにした。

ここで、マーケティングリサーチを考えると我々は消費者行動を消費者のシステム2の思考をトレースすることで明らかにしようとしていると考えて間違いないだろう。
リサーチ・分析という思考が、そもそもシステム2の思考であることもそうさせている。
(ヒューリスティックでレポートは書けない。)
しかし、当の消費者の意思決定がシステム1で行われているとするとシステム2による質問には意味がなくなるというか、とんちんかんな質問をしていることになる。
今のところ、ここまでしか考えが進んでいないし、本も読みかけなので、もう少し考えてみようと思う。

システム1とシステム2のアナロジーをあげてみる。

システム1 システム2
右脳 左脳
東洋的思考 西洋的思考
直感・感覚 論理・分析
文系 理系
多神教 一神教
自己生成 設計・建築
定性調査・インサイト 定量調査・有意差

いろいろ挙げられるが、なんか違うという気もする。

2012,2

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