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今週の話題:消費者行動モデルにエヴォークトセットとCEPsを組み込む

消費者行動モデルのattentionとinterest

AIDA、AIDMAなどの消費者購入モデルはAttetionでスタートする。
(我々が提案するDAMAモデルはDesireがスタートになっている)
attentionは注意、注目、関心を持つという意味で、interestは興味関心を持つ(それはよく見よう、調べようという行動につながる)ということで、この2つの反応は同時に起こると考える。
attentionは感覚刺激が起点となって認知に至る道と知識(認知)が起点となって感覚刺激の印象・評価に至る道がある。
ボトムアップ注意とトップダウン注意である。どちらの注意にしろ、感覚刺激を認知する時は、ある予測を持って、その予測と感覚刺激の誤差を最小化する方法を取るとされている。(予測誤差最小化方略)
今までの消費生活でのエピソード記憶、意味記憶の中からある記憶を想起して、現在の感覚刺激との誤差が大きければ、違う記憶を想起して誤差が最小化されるまで想起と照合を繰り返すわけだが、妥当なところで認知を確定する。
この心理的作業は意識せずに行われ、消費者は「あっ、これだ!」という感覚しかない。

desierとactionの遷移の溝

attention、interestは興味関心のあるものを(に)「発見(接触)」したプロセスである。
ならば、次に買う (action)行動につながっても不思議ではない。しかし、マーケティングはdesierプロセスをはめ込む。
興味関心あるものを発見することと、それを「欲しい、買いたい」と感じるプロセスは違うとする。
では、desierは何かと言うと「欲しい、買いたい」という欲求のことで、発見イコール欲求とはならないと考える。
desierはその人の記憶と状況に規定される。
記憶とはそのジャンルの購入、使用、評価の蓄積ことであり、全くの新製品でもそれに似た体験から記憶は形成される。
(だから、今までの体験をすべて裏切る画期的新製品は熱狂だけでなく、恐怖と忌避を招く反応もある)。
状況とは、飲食品であれば、空腹、渇きの状態であり、人によりライフステージにより、季節、時間帯によって大きく変化する。真冬にアイスの欲求は起こりずらいが、暖房の効いた暖かい部屋では真夏とは少し違ったアイス欲求が起こる。
興味関心のあるものを発見しても、記憶をたどるとあまり満足した記憶ないものや自分の今の状況からかけ離れたものにはdesierは起きないのである。

購入意思決定の二重過程

興味関心のあるものを発見し、欲しいと思えば、即、購入(action)となる。ところがこれはシステム1だけの行動であり、あらゆる意思決定はシステム1とシステム2の二重過程であるとする考え方がある(D・カーネマン)。
買おう思った瞬間、「ちょっと待て、ゆっくり検討しよう」という天の声が、システム2の発動である。価格はこれでいいか、隣のものと比べてこれでいいか、という理性的な判断がシステム1の直情、情動的判断で突っ走ることを止めるのである。
システム2は理性や論理による判断である。
システム2の発動が弱いのが「衝動買い」や「習慣的ブランド選択」である。しかし、単価500円(ワンコイン)以下の消費財でシステム2が必ず作動するとは限らない。

ブランド認知とエヴォークトセット

 消費者行動論にエヴォークトセットという概念がある。
消費者は買い物行動を起こすとき、個人ごとに「買うことがある、買ってもいいと考えるブランドのセット」を持っていて、 このセットの中に入らないブランドは、いくら認知率が高くても買われることはない。とする考え方である。
つまり、エヴォークトセットは認知ブランド集合の部分集合であり、当然、認知ブランド集合よりも小さい。
エヴォークトセットがAIDAモデルのどの部分に入るかを検討すると、買い物行動を起こす直前であろう。attentionの 前にエヴォークトセットが想起され、attention行動を修飾するか、attentionブランドを「購入する可能性があるかどうか」でフィルタリングする作用をすると考える。
ただ、買い物行動が起こる直前にエヴォークトセットが想起されるというのは少し無理があり、エヴォーックトセットに入っていないブランドはattentionしてもフィルタリングされてattentionが消えると考える方が自然であろう。
以上から、モデルの中に取り込むの難しく、モデルから離れて状態を表す概念と考える。

カテゴリーエントリーポイントCEPsと行動モデル

CEPはエヴォークトセットよりもわかりやすい概念で、この2つはからみ合っていると考えられる。
消費者がカテゴリーを意識する機会は少ないがマーケターはカテゴリーの中で仕事している。
ビールメーカーのマーケターはビールカテゴリーのことだけを考えて仕事している。ウイスキー、焼酎、RTDのカテゴリーは認識しているが、あくまでもビールカテゴリーが主戦場であることは変わりない。
消費者がビールを買うとき、飲むときは、カテゴリー意識は弱く、発泡酒や第三のビールも同一カテゴリーと認識していると考えられる。さらには酔っぱらうための飲料カテゴリーに広げる機会もあるが、それは「酒ならなんでもいい」状態でカテゴリーを意識しているとは言えない。
CEPも当然、マーケターのではなく、消費者のカテゴリー意識に従っている。CEPの思想のポイントはカテゴリーが想起された時、「(トップで)想起されるブランドにならないと買われない」とのテーゼである。
AIDAモデルでいうとattention、interestの前にカテゴリー想起プロセスをセットすることになる。

カテゴリー意識が想起される場面

消費者がカテゴリーを想起する瞬間は、ライフステージ、季節、一日の生活の変遷の中に現れる。
ランドセルというカテゴリーは子供が幼稚園年長の夏休み前に意識され、両親と祖父母を走らせる。
習い事、学習塾、受験は小4の時に想起されるカテゴリーである。
スマホは中学入学時で、高校生以降は日常の買い物は子供の主権となる。
成長して、同棲・結婚、結婚・子育てのライフステージで必需品のカテゴリーが想起される。
季節の境目でもカテゴリー意識は想起される。1週間、1日の生活の中にもカテゴリー想起の機会はたくさん現れる。
これらカテゴリー想起をチャンスととらえ、想起の時に第一想起されるようマーケ戦略を実施する。

日常の買い物でのCEP

耐久財や自我関与が強いジャンルの買い物にはCEPは当てはまらない。
あてはめると、CAIDAモデルとなるが、ほとんどの消費者は日常の買い物でC(カテゴリー)意識することはないし、日常生活でカテゴリーを意識することはないし、その分類もあいまいである。
会社の昼食時に「どうしようか?」と外食(種類多数)、CVSで買うか迷う時、会社の昼食というカテゴリーは想起 (意識)されていない。フラフラとCVSに入ったとき、弁当、サラダ、サンドイッチ、カップ麺などの店側のカテゴリーは意識されない。
結果として、カップヌードルとポテトサラダを買ったとしてもサラダカテゴリーを選んでからポテトサラダに、カップ麺カテゴリー を選んでからカップヌードルへの行動の流れは想定できない、できたとしても弱い。
日常的な買い物行動にマーケ側が提案できるカテゴリーエントリーは存在しずらい。
CEPは重要な概念だが、日常のマーケ施策に落とし込む方法の開発は進んでいない。

 

2026.3

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