コラム
定量調査と中心極限定理
インタビューという方法をマーケティングリサーチで採用しようとした時、1on1インタビューを発想したか、グループインタビューを発想したのかですが、常識的には1on1ではないでしょうか。
それまでの訪問面接調査が1on1を基本としていたからそう考えるだけです。
訪問面接は定量調査ですが、このあらかじめ構成された質問文(紙)による調査は、回答者の数を無限大に(母集団の数まで)増やしていけば、間違いなく実態を精確に捉えられます。
つい15年前までは、費用と計算能力の限界が大きく無限大に増やせないのでランダムサンプリングによって市場の縮図(ミニマーケット)を描くことで実態に迫っていたのです。(拡大推計とう方法)
それがコンピューターの能力の飛躍的向上によって、マーケティングリサーチとは関係のないところで、(マーケティング)データが恐るべき規模で日々収集され、蓄積されるようになったのです。
アマゾンや楽天市場の取引データはネットの普及で最近注目されていますが、この種のデータではPOSデータが古くからあります。
POSデータも、当初はリサーチデータとして扱われ、代表性が問題視されたり、リサーチデータとして集計・分析されていました。
しかし、今や、7&iグループだけでも数十万か数百万(?)のPOSデータが日々、収集・蓄積されているはずです。
こうなるとリサーチデータの集計分析という考えは馴染まず、「その数学が戦略を決める」の著者が言う「絶対計算」=データマイニングになります。
マーケティングリサーチの世界では、ネット調査がこの膨大なデータの分析という可能性をもたらしてくれるはずですが、現在のところ集計サンプル数と質問数のかけ算で課金するリサーチ会社が多いので、限りなく回答者数を増やすことができません。
いずれにしろ、1on1のデータを無限大に増やしていき、中心極限定理によって精度を保証するのが定量的リサーチの方向でしょう。
2008,2