コラム

「健康」は「おいしい」か?

10年くらい前は、「健康」だけで新製品のコンセプトになったこともありました。
「健康によい」「低カロリー」「低脂肪」だけでコンセプトになった幸福な時代です。
当時は確かに「おいしい」コトバでしたが、今では当たり前の前提条件でコンセプトにはなり得ません。
「おいしい」「高機能・高性能」というコトバと同じように、それだけでは「差別性」が訴求できないのです。
「健康」は、コンセプトとしてはおいしくなくなって、「おいしい」と同じになったのです。
てな、駄洒落はさておいて、
健康について、今こそ整理して考えることが大事です。
「健康」を再び、製品コンセプトとしておいいしいものにするために、健康概念を消費者がどのように捉えているかをグループインタビューの中から探っていきます。
もちろん、グループインタビューの具体的なテーマには言及しませんが。

とりあえず、今回は「健康」を概念的に考えてみます。

プロスポーツ選手などは競技の身体能力追求のあまり健康を損なうことも多い。

一般生活者は、自分の望む生き方と 身体的健康が一致しないことも多い。
(飲食、アソビのため体を壊す)

老化、ストレス、生活習慣などの原因が 区別されないまま症候群として自覚されている。

それぞれ固有の発症過程と症状があり 治療の対象となる。ここでは患者。

健康の反対語は病気ですが、健康と病気の一線ははっきりしておらず大きなグレーゾーンがあります。
ここは不健康領域といえる部分で最近、注目の新製品領域です。

老化と健康を考えるとあいまいになります。老化を疾病と考えれば治療(治せる)の対象になります。
老化の先には「死」がありますが、死にも健康的な死(老衰?)と病的な死(病死、事故死、自殺)の区別がありそうですが、一般的ではありません。
老化の阻止(若返り)や防止(遅らせる)も、注目の新製品領域です。

疾病は、失われた健康を回復するもっともわかりやすい領域ですが、ほぼ完全に医薬の領域になります。
ただ、この世界から不健康領域へのコンセプトの流れ(スイッチOTC、サプリメント)があります。

一般生活者は意識的ではありませんがこの3領域を認識していると考えてコンセプト開発すべきでしょう。
  ・鍛錬=ゼロ地点から大きくプラス方向に持っていく
  ・予防=ゼロ地点を維持する
  ・治療=マイナスをゼロ地点まで回復する この3つの機能のどこに重点を置いて製品(コンセプト)開発を行うのかスタンスが定まらないとエッジの立った画期的なコンセプトはできあがらないと考えるべきでしょう。

次回から、健康と美容
       ライフステージ別健康概念
       健康とグローバリズム
の3点について考えます。

2003,2

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