コラム

健康概念とコンセプト

前々回は健康概念を「身体能力の回復」「身体能力の維持」「身体能力の追求」の3つに分割しました。
3つの概念それぞれから、健康コンセプトの方向性をみると以下のような図式が考えられます。

身体能力の追求の手段は鍛錬を手段とします。
ですから、それらを助ける機能を訴求する必要があります。
飲食品であれば、筋肉を増強する成分や肌を美しくする成分などです。
また、運動器具なども考えられます。(化粧品ではメイクアップになります)
そして、コンセプトとしては、「プロが使う。プロにふさわしい。」などが訴求されます。

身体能力の維持は、時間の経過とともに衰える身体能力をいかに維持していくかということなので、予防することが大切になります。
そこから、習慣的、継続的な機能が訴求されます。
飲食品、化粧品のコンセプトの多くはこの概念の具体化をめざしています。
また、自治体など公共機関の活動もここに重点がおかれています。

身体能力の回復とは疾病状態の脱出という意味ですから、治療・投薬がもっともシャープな手段です。
つまり、医療の世界になりますが、医家向医薬品だけでなく、OTCやいわゆる健康食品(サプリメント)でも「作用機序」と「効果」の納得性が訴求のポイントになります。(エビデンスの問題)
コンセプトとしては「部分」にフォーカスを当てることが大切です。

前回は、健康という「個体(個人)」の問題とグローバルな意識とのつながりをみました。
個人の健康意識が体外に「浸み出て」行って、家族、地域社会、地球にまで広がり、そこから個人の健康を考える意識、「21世紀型」健康意識の浸透を検討しました。
これを経済学的な意味ではなく「(健康の)グローバリズム」と名付けました。
このグローバリズムの特徴は、
  ・マーケティングの全ての過程に影響する。(全ての製品ジャンル・流通過程・プロモーション)
  ・政治性、社会性(時には宗教性)が強くマーケティング概念を超えてしまう。(遺伝子組み換え食品)
などがあり、
  ・現在のところ、コンセプトワークには「マイナスの力」として作用する場合が多い。
のですが、これを無視すると手痛い失敗の原因になります。

特に3つの健康概念のうち「身体能力の維持」に関しては、このグローバリズム意識が強く作用します。

2003,5

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