コラム

健康コンセプトによるライフステージセグメンテーション

・健康概念は、大きく3つに分類され、それぞれコンセプトの方向性が違う。
・健康概念は、地球環境意識を内部に取り込むようになって、いわゆる健康のグローバリズムといえる 傾向を持つようになってきている。

ということを検討してきました。
今回は「健康」を指標にしたセグメンテーションを考えます。 もちろん、定量的なデータ分析に基づいたセグメンテーションではなく、年間200グループ以上実施しているアウラのグループインタビューから浮かび上がった消費者セグメンテーションです。 健康をキーにすると以下の4つのライフステージが考えられます。

Ⅰ期   「健康」の家族依存期   0~10才前後   乳児~小学校低学年
Ⅱ期   「健康」のはぐれ期   11~30才前後   小学校高学年~結婚まで
Ⅲ期   家族の「健康」形成期   30~45才前後   第1子誕生~末子小学校まで
Ⅳ期   「健康」の解体期   45才~   末子高校生以上

Ⅰ期とⅢ期は家族を通した健康、Ⅱ期とⅣ期は家族の解体を通した健康という共通項があります。
Ⅰ期の個人には健康概念はありません。
この時期は家族、中でも母親に100%自分の健康を依存しています。
従って、母親を通したマーケティングとなりますが、母親が我が子のことを100%理解し、管理していると考えると失敗します。
母子のペアでグループインタビューをするとこどもの反応に「あわてる」母親が半数くらい見受けられます。
この期の「健康」は成長・発育であり、時間の経過が積極的に評価されます。
関心は「人並み」がキーになります。
乳幼児期は2Σの中にはいっていることで安心し、発育段階を平均より少しでも上にするよう努力します。

Ⅱ期の特徴は「子供のころ(昔)はよかった」という心理状態を生涯で初めて持つことです。
時間の経過が必ずしもよい結果を与えないと気づく瞬間といえます。
自分の成長・発育を客観的に見られるようになって、理想型とのギャップを激しく認識するようになります。
このギャップを意識した瞬間から「健康」概念は拡がります。 同時に思春期の過剰な自意識も加わって、中には一生にわたって脅迫概念となる人も出てきます。
この時期の健康コンセプトは「なんでもあり」状態です。

Ⅲ期は加齢とともに女性の場合は妊娠・出産が健康意識に大きく影響します。
それまでは概念的に捉えていた健康や生命が身体的な認識となります。
このことは「健康のグローバリズム」意識の契機にもなります。
現象的には、第1子出産後はCOOP(生協)商品に非常に関心を持ちます。
Ⅰ期の母親の役割を演じることになります。
ここでは、成長・発育とともに「安全、安心、天然自然」がコンセプトになります。

Ⅳ期は、まさに「死」に向き合う健康の時期です。
死がどうあがいても避けられない宿命であるため、民間宗教的要素を帯びてきます。
「信じるものこそ健康に良いもの」となるわけです。
一方で近代医学(科学)を宗教的に信じるということも起こります。
日本を含めた先進諸国はこの時期の人口が増えつつあるため社会・政治問題化しつつあります。
この時期の健康コンセプトは、まだ開発段階と言えます。

2003,5

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