コラム
グループインタビューで『インサイト』を発見する
第21回アウラセミナーは「グループインタビューでインサイトを発見する」をテーマに
- 消費者インサイトとは何か
- グループインタビューでインサイトを発見するには
の2点について参加者と共同で研究し、実際のインタビューも行いました。
まず、消費者インサイトを「消費者の認知フレームの組み換え」と定義しました。
消費者は日常生活で自分の消費行動や消費意識について「認知フレームを持っていない」、たとえ持っていたとしても自覚的ではない、と考えるのが妥当でしょう。
グループインタビューの「場」に来て「なぜBではなくAを買ったのか?」と質問されて初めて自分の消費行動や、その製品ジャンルに関して自分がどんな認知枠組みを持っているかに自覚的になる。と考えられます。
そして、多くの場合、その場であわてて認知枠組みを作るようです。
当然、その枠組みは
- その場の雰囲気を反映した内容(空気を読む)
- その時の世間的な常識を逸脱しない
- 論理的に矛盾しない
- 自分を賢く見せる(少なくとも愚かに見えない。愚かに見えてもかわいく演出できる)
などの制約を自然に受けています。
さらに、こうした「にわか作り」の認知フレームも1時間も話をするうちに確信に変化し、グループインタビューは「自然に」進行していきます。
グループインタビューがこのまま終了すると
- わかっていることが確認できただけ
- つまらない。新発見はなかった
と否定的になり、「消費者の生の声が聴けた」ことだけが成果になってしまいます。
それはそれで有効なことですが、ここから先に行くには消費者の認知フレームに「組み換え」を起こすことが必要になります。
にわか作りの認知フレームに対してさまざまなプロービングを行うことで「組み換え」が起こります。
- 消費者自身が気づかなかったこと
- 認知フレームの矛盾やバイアス
などを指摘することで組み換えが発生し、組み替えられた認知フレームを「インサイト」と言ってよいと考えます。
以上から言えることは
- グループインタビューの度にインサイト発見という成果は期待しずらい
- インサイト発見のためにはモデレーション技術とともに「対象者の質」が大きく影響する。
- インサイト発見にはプロービングのテクニックとメタファーを使うことが重要。
などではないでしょうか。
2011,11