コラム
行動観察の実際
第15回アウラセミナーのテーマは「行動観察のインタビュー」であった。
行動観察とインタビューを組み合わせることでインタビュー調査の可能性が開けたことは前回のコラムで取り上げた。
今回は、実際の行動観察の例を報告する。
テーマはこの電気ポットのデザイン開発(改善)、特に天面のデザインに集中した。
「電気ポットのHMI(HumanーMachineーInterface)を改善する」ということになる。
① セミナー出席者2名にコーヒーカップにポットからお湯を注いでコーヒーを入れてもらった
② それを他の人が観察しながら、以下の項目でメモをした。
直接観察(事実・実態) | 科学的観察(問題発見) | アスキング項目 | |
1 | 親指で抑えながらボタン操作した | ポットが回転してしまうと思った | 親指は何のために使った? |
2 | ロック解除から出湯がやりずらそう | 下から上への行動の移動が不自然 | どっちを先に押そうとした? |
3 | 注ぎ口を下から覗いた | どこから湯が出るかわからない | ヤケドの危険を感じたか? |
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③ その後のインタビュー(お湯を注いだ人に)とディスカッションから、いくつかの改善点が提案された。
その改善点は
- ポットの回転を止める「ロックキー」的なものを採用することを検討
- お湯を注ぐ(上から下への動き)行為をアフォードするために「ロック解除」と「出湯」ボタンの位置 を逆転させる。(この案には「安全」の視点から反論もあった)
- 注ぎ口のノズルに伸縮性を持たせる(これも安全と清潔の視点から異論があった)
などで、非常に実践的であった。
2011,2