コラム

「ペルソナ法」とインタビュー

ペルソナ法は、コンピュータのソフトウエア、ユーザーインターフェイス開発の方法として発展してきました。
初期のシステムは、「あれができる、これもできる」と言った機能・性能を中心に考えて開発されました。すると、実際に使う人にとって使いづらかったり、冗長なプログラムになったりといった弊害、問題が発生しました。
それを解決するために、実際にソフトウエアを使う人の視点にたって開発すればよいと考えるのは自然のながれです。
(マーケティング用語でいえば、「シーズ発想からニーズ・ウオンツ発想への転換」ということになります。)

ここで、システム関連のニーズ探る必要がでてきました。
このプロセスをシステム関連では、「要求定義」「要求獲得」「要求分析」表現しています。いかにも専門用語っぽい表現ですが、ソフトウエアを使う人が「したいと思っていること(要求)をはっきりと理解し、モデル化する」ということです。
これを「ユーザー中心の要求分析」といい、以下のような概念図になります。
(2000 青山幹雄)

ここでおもしろいのは、ユーザー全体(平均値)を想定して作ると誰にも中途半端で使えないソフトウエアができてしまうそうです。
そこで、1人の典型的ユーザー(=ペルソナ)を設定して、そのペルソナを100%満足させるシステムを作ると幅広いユーザーに使いやすいものになると考えたのが、ペルソナ法の発想で、実際、その方が多くの人に使いやすいシステムが開発できたそうです。これをペルソナ法と名付けたわけです。
(定量調査だけからの結論は誤り安いというリサーチ業界の常識?と一致します。)
ここで注意すべきは、ペルソナは恣意的にきめるのではなく、観察、インタビュー、定量調査に基づいて決めると言うことです。
システムの開発チーム全員が、設定したペルソナになりきることで、チームとしてのパフォーマンスもアップします。この後、シナリオを書くという重要なステップに入りますが、ここではこれ以上言及しません。

以上がペルソナ法の概観ですが、これで、システムの開発過程にもマーケティングインタビューが重要な役割を持つということがわかります。
また、インタビューそのものにペルソナ法に習ったインタビュー技術があります。

  1. 対象者全員にあるペルソナになりきってもらう。
    (セルシオオーナーにベンツ500SEのオーナーになりきって発言してもらう。)
  2. 競合ブランドユーザーのペルソナを語らせる。
  3. 意志決定場面(店頭)の演技をしてもらう。(プロトコル分析に似ている)

ここで難しいのは、ペルソナの設定です。
デモ特性、経済特性、心理特性など普通のセグメント方法で充分な場合とテーマにそって新たなペルソナを作り上げないと意味がない場合があります。
マーケティングインタビューにおけるペルソナ法の方法論はまだ確立されてはいません。
ただ、モデレーターとして、意識的に使うとインタビューが深くなることは確実です。

2005,4

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