コラム
価格とモデレーション
FGIは価格分析、価格の取り扱いが苦手である。
価格は、POSデータなどの定量的大量データで分析すべきだろう。
その前提で、FGIでの価格の取り扱いの注意点を考える。
- コンセプト、製品評価のFGIでは必ず最後に価格を呈示する
コンセプトや製品を評価している場合、好評でも不評でも、一通り評価が終わったら必ず想定価格を呈示する。
・コンセプトを一般的、評論家的態度で評価していた対象者に「自分のこと」として考えることを迫ることができる。
・購入意向がひっくり返ることもしばしば起こる。
・ジャンル意識がはっきりしなかった評価をあるジャンルに固定できる
ただし、最初の場面で価格を呈示すると評価が価格に引っ張られる。
・コンセプト、ベネフィットの新しさ、品質評価のバイアスになる。
・価格帯で見切ってしまうので、評価ができなくなる。
- 消費者は「値ごろ感」を持っている。
始めて買うジャンルでも値ごろ感を作ってから選択行動する人が多い。
*例えば、始めて東京圏で賃貸住宅を借りようとした場合、
賃貸住宅サイトを見て相場観を得てから不動産屋に問合せる。
値ごろ感は強いアンカーになる。それを基準に比較検討する。
値ごろ感を越える値づけには、それなりの理由が要求される。
値ごろ感を大幅に下回る値づけは品質に疑問を持たれる。
- FGIでも松竹梅効果(バイアス)はある。
価格呈示で、真ん中や真ん中近くが選ばれる。
コンセプト評価に集中しすぎるとこのバイアスに気づかないことがあるので注意。
また、対象者のコンセプト評価があいあまいだとこのバイアスが強くなる。
めんどうでも、広い範囲の選択肢を呈示するか、競合品と近い価格帯を呈示する。
- 大台割れ効果はFGIでは発生しずらい。
FGIで210円という価格を呈示すると、対象者は自動的に「198(イチキュッパ)」 だな、店頭ではと理解する。
大台割れ価格は、常識になっているのでそれを組み込んだ価格呈示をする。
2016.1