コラム
対象者の質
マーケティングインタビューの出来・不出来は、仮説のよしあしとインタビュー(実査)で決まります。
インタビューは、参加する対象者の質とモデレーション技術に左右されます。
対象者の質とモデレーション技術のウエイトを競馬に例えれば、「馬(=対象者)7: 人(=モデレーター)3」といったところでしょうか。
このようにマーケティングインタビューの結果に大きな影響を与える「対象者の質」ですが、どこでも研究されていません。
対象者の質は、インタビュー終了後のモデレーターやクライアントの愚痴として語られるだけです。(「今日の○○さんは最悪だ。」「何を言いたいのかわからない。」「しゃべらない謝礼ドロボーだ。」「知ったかぶりが強すぎる。」などの愚痴はよく聞かれます。)
このように対象者の「質が、重要度の割に軽視される理由は、
- 対象者を所与の回答マシンと考える。
- バイアスを極度に恐れる。
というリサーチャーの「科学的態度」にあると思うのですが、それはさておき、対象者研究を少し試みてみました。
対象者研究のテーマは「対象者は、どういうつもりで出て来て、何をしゃべっているのか。」 の2点です。
手始めに、アウラの6月セミナーで別紙のような対象者アンケートを実施しました。
テーマにピッタリの質問文ではありませんが、結果は、8人中、
過去1回出席 3人
過去2回出席 1人
過去4回出席 1人
過去5回出席 1人
という結果でした。
セミナーのリクルーティングは、いつも使っているリクルーターにいつも通りお願いしました。
- セミナー(研究目的)と言っていない。普通の条件。
- 過去1年間にグループインタビューに参加した人は除外
という内容で、いわゆる「縁故法」を使いました。
まず、気づくのはリピーターが多いことです。
リピーターの功罪については別に考えますが、つぎに、対象者のインタビュー評価、インタビュー参加時の気持ちを聞きました。(Q8)
3.知らない人と話が出来て楽しかった。 2人
4.いろいろ勉強になった。 3人
と肯定的な意見でしたが、
1.何を聞かれているのかよくわからなかったことがあった 1人
13.買う気はないが「買ってもいい」とお世辞を言ったことがある 1人
という回答もあります。
このように、理解が不十分(トンチンカン)でも対象者は「答え」をくれるし、こちらに「おもねった」 回答をすることもあることがはっきりとわかりました。
とりあえずはこれだけですが、今後も対象者研究を続けて「対象者」と「消費者、生活者」の違いと同一性を明らかにしたいと考えています。
2006,7