コラム

アクティブ・インタビュー

我々は、「アクティブインタビュー」を2014年の目標とするが、もっと長期の目標と考えている。
少しおおげさだが、現在のインタビュー調査の「創造的破壊」をめざしている。
市場調査(サンプリング調査)はネットリサーチの登場で実質的に死刑宣告され、ビッグデータの流行で概念的にも過去のものとされつつある。
先人達は、データ収集の人手とおカネを節約するために「サンプリング理論」を考え、検定の方法を工夫してきたが、タダ同然で源データが転がっている状況が生まれ、節約の必要性がなくなった。
もちろん、今でも「データを取る」のに人手とおカネがかかる分野の方が大きいので、いわゆる市場調査がなくなることはない。

このように定量調査ではイノベーションが起こるが、定性調査ではイノベーションらしきことはほとんどない。
ブログやSNSの分析がビッグデータとして話題になることもあるが、テキストデータの分析は自動化が難しい。
そこで、インタビュー調査の方法論そのものを見直すことに挑戦することにした。
インタビュー調査のイノベーション(クリステンセンが言うところの)としてアクティブインタビューを追及していく。
実は『アクティブ・インタブー』という訳本が2004年に発売されていて、このコラムでも取り上げていた。
それをサラっと再読してみた。

アメリカの社会学者2人の共著で、マーケティングインタビューよりも精神医療や福祉関係の分野からの提言である。
2人が提唱する「アクティブインタビュー」とは、
「インタビュアーは対象者にアクティブに働きかけて、共同作業として意味の構築を行うべきである。」
ということである。
マーケティングインタビュー的には、非構造化、半構造化インタビューがアクティブインタビューに近い。
モデレーターが(積極的に)働きかけ(バイアスを恐れない)、対象者も積極的に関わるように仕向けることで、仮説の検証や構築だけでなく、新しい意味(物語、ストーリー)の生成が協働作業の結果として可能になると言っている。

「回答の容器」「回答のリソース」という言い方もおもしろい。
我々は暗黙のうちに対象者を回答マシーンと考えてしまう。
自販機のように「質問」を投入すると「回答」が飛び出す。それならモデレーターをロボット化できる。
2人の主張は、対象者が持つ(と想定している)「回答の容器」にフィードバックを起こさせ、対象者とモデレーターが一緒になって「意味生成の協働作業」を行うことがアクティブインタビューであるということである。
そこから、回答だけではなく「実践的推論」を引き出すことができる。
実践的推論は、マーケティング的には調査結果として実態だけでなく、「有効な(使える)提案」が引き出せるくらいの解釈でよいのだろう。

我々は、2人の主張する方法論にいろいろ手を加えて実用的なものにしていくつもりである。

2014,1

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