コラム
Web消費はロックイン現象を強化する?
ロックイン現象には、
- 個人のブランド選択行動でのロックイン(毎回同じブランドやメーカーを買ってしまう)
- その個人の行動を集計した市場全体でシェアが固定化するロックイン
の2つがあります。
  ロックインの原因も 
- ソフトウエアのように他人と同じ仕様の方が便利(一太郎よりWordにしておけば安全?)
- 複雑系が説明するような「初期値のわずかな違いが結果の違いを極大化する」
の2つがあるようです。 ―「図解でわかるマーケティングリサーチ」p188を参照―
Webでのロックイン現象は、まずポータルサイトに現れています。
  日本でのポータルは圧倒的にYahooです。(正確な数値はわかりませんが) ところが、消費者は各ポータルの差違をほとんど認識していません。
  グループインタビューでポータルの比較をさせても、Yahooが機能や使いやすさで優れているということもありません。 
  でも、ポータルを変える(ブランドスイッチ)という意思表示する消費者はほとんどいません。
  文字通り、高シェアがロックインされています。
  この理由は以下のように考えられます。 
- ユーザーは、ポータルサイトはどこも同じと考えている。
- ポータルの機能(メニューや検索のしやすさ)に期待していない。
- 重要なのは、ポータルではなくその先のサイトと考えている(ポータルは通過点)
- ポータルを変えるのは「めんどう」だと思っている。
- Yahooが初期の集中営業によって「先行者メリット」を得た
消費者はポータルを比較検討してYahooを選んだのではなく、「偶然」の選択がロックインされているだけです。 
  このようなロックイン状態は、個人情報漏れ事件の影響も少ないと考えられます。 
ポータルの先の各サイトでもロックインは起こっています。
  ロックインを機能的に支えているのが、「お気に入り=ブックマーク」です。 
  毎回、キーワード検索するのはめんどうですからブックマークをクリックすることになります。 
  そこに大きな不満がない限り、「完璧なリピート購入」がつづきます。
  店舗での行動のように「目移り」が起こりずらいのです。 
  Webは世界中に張りめぐらされた網の目の中を自由に動き回れるのが特性ですが、実際の行動は「蜘蛛の網にからめとられる」こと多いのではないでしょうか。 
  例えば、アサヒスーパードライがキリンラガーからシェアを奪ったようなマーケティングドラマは生まれにくいのではないでしょうか。(ビールから発泡酒のようなジャンルスイッチはおこるでしょうが) 
  理由は、 
- Webはマス広告が効きづらい
-  効いたとしても購入者が意志的に動かないと新製品に行き当たらない
 (広告していた新商品を店で偶然見かけて買ってみる。に対して、広告していた新商品の URLを入力するかキーワード検索しないと新商品に会えない)
-  バナー広告はベネフィットを伝える機能がない。(インセンティブがないとクリックしない)
 
などが考えられます。
Webマーケティングでは、ロックインが起こりやすいので、「小さな差違」ではなく、決定的な差違を作り出すことが大切です。 
  そうすれば、自分のシェアが高いままロックインされます。
2004,3



















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