コラム

インターネットと消費者(Web消費)

Webを経由した物品・サービスの売買の普及は、既存のマーケティングに大きな衝撃を与えていると言われています。
特に、物品の物理的移動を伴わなくてもすむ入場券、宿泊券、航空券、指定券は最もWeb取引に馴染みやすいものです。(これらの商品は、特定期間の特定場所の占有権の証明といえます)
さらに、音楽や書籍などのソフトウエア商品もWeb消費に適しています。
物品の物理的移動を伴う商品でもインターネットだけではなく、宅配便の網(Web)の整備でWeb消費が進んでいます。(通販業者を経由しなくても地方産品が気軽に手に入れられるようになりました。)
そして、オークションという「物々交換」に近い取引形態も発展しています。
これらWeb消費の進展がマーケティングに与えたインパクトは

  • 小売り形態の変化(店舗販売、窓口販売の衰退)
  • 商品形態の変化(CDが消えそう?、著作権は何に付随させればいい)

の2点でしょう。

一方、マーケティングの世界では、1to1とか、CRMとかがさかんに話題になるという傾向があります。マスマーケティングの限界ということらしいです。
1to1にしろ、CRMにしろ、購買記録を中心に個人データの正確で一括した記録が前提になります。それをデータベースにして個別顧客に個別の提案(カスタマイズされた広告・宣伝など)をすることが1to1ということになります。
アマゾンで書籍・CDを買うと、いろいろな提案が来ます。(あなたと同じ本を買った人は他にこんな本も買っていますとか)
これが、1to1のひとつのカタチといえます。
1to1にしろCRMにしろ、顧客データの収集・蓄積・再検索・分析がない限り、概念だけが先走ったものになってしまいます。
1to1、CRMは、コンピューターのスピードアップ、分散処理、低廉化に伴って現実味をおびてきています。
さらにWeb消費の浸透が1to1やCRMをサポートするようになりました。
考えるまでもなく、購買データの収集は個別店舗よりもWeb上の方が有利です。
消費者がWebだけで商品を購入し、パーソナルデータの提供にパーミッションを与えてくれれば、1to1が成立しやすくなります。
書籍・CDだけでなくあらゆる商品ジャンルでWeb消費が浸透すれば、究極の1to1が可能になるわけです。

ここで、問題になるのは消費者心理です。
消費者は売り手の「思い」にかかわらず、Someoneとして扱って欲しかったり、Anyoneでよかったりという心理の振幅をもっているという認識が必要です。
さきほどのアマゾンのサービスを「ありがたい」と感じる人と「ウザイ」と感じる人がいることは容易に想像できますが、同じ人でもその時の状況やサービス内容によって感じ方が違ってくるものです。
Web消費でも通常の店舗消費でもSomeoneかAnyoneかの心理の振幅はかわりませんが、Web消費はAnyone意識を強くします。
時間つぶしに時計屋にはいったら、店員につかまっていろいろ話をしたり、いくつか時計を出してもらったりしているうちに「今日、ここで買わないとマズイかな?」という心理が生まれてくるのが人間です。
その心理を無視できるかどうかはパーソナリティの違いになります。
一方、Web上の商店街を探索しているときは、もちろん、店員はいませんし、時計を何個見ていても「買わなくてはマズイかな?」という心理は生まれてきません。
Webは、いつでもどこでもAnyoneでいることができるよさがあります。
そこに突然、あなたの購買履歴を分析した結果「あなたにはこういった商品が必要なはずです。」的リコメンデーションが来たら、多くの人は「気持ち悪さ」を感じるはずです。
それに対して、店員が自分の趣味を憶えていて、「こういったものが入りました」と言われるのは相手のサービス精神に感じ入るという結果を生みます。

Anyoneとしての消費にどのようなカタチでSomeone(あるいはOnly One)消費を持ち込むか。 Web消費の勝負はここにあります。

2004,6

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