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FGIの革新 アクティブインタビュー

プロービング

プロービングのやりかた

モデレーターの重要な技術のひとつにプローブがあります。
対象者の発言に対して常に「何故、そう思うのか」「何故、そう感じるのか」をプロービングしなさいとモデレーター教育で教えられます。
そして、その通り「何故?」を連発して対象者を萎縮させ、しゃべれなくしてしまうモデレーターを見かけます。
そこで、プローブの方法を鈴木淳子著「調査的面接の技法」をもとにして整理してみます。
鈴木さんはプローブを次の6つに分類しています。

  1. completion probes 補完的
    一般的、不完全な発言に。「もっと詳しく聞かせてください」「他の言い方だと」
  2. clarity probes 明確さの追求
    意味内容を明らかにする。「その理由は」「どんな意味ですか」
  3. channel probes 経路の追及
    「誰がそういってました」「どこで聞きました」
  4. hypothetical probes 仮定的追及
    仮定を含んだ発言に。「~という条件がなかったら」
  5. reactive probes
    感情的反応を引き出す。「~について個人的にはどう思うか」
  6. high-pressure probes
    発言に矛盾がある場合。「ほんとうにそう思いますか」「ご自身がそう思っていますか」

食品のコンセプトチェックのグループインタビューで、対象者が「どうせなら、健康にいいものを食べたいよね。」と発言したとします。
この発言に対してプローブすることは山ほどあります。

「どうせならということは、そうでないときもあるのか」
「健康にいいものとは何か(健康に悪いたべものは何か)」
「あなたのいう健康はどういう意味か」
「普段食べるもののことか。特別な食事か」
「自分がたべたいのか。家族に食べさせたいのか」
「普段、あなた自身がそう思っているのか。世間一般でいわれていることか」

など、1.~6.にあげられとことのほとんどがプローブされます。
もし、これだけプローブしたら、対象者は

  • しつこい人(モデレーター)だな
  • 自分は何か間違ったこと言ったのかしら
  • 責められてるみたいだな

と思うようになって、他の対象者も「しゃべらない方がいいかも」とグループ全体が萎縮してしまうことがあります。
ここでは「健康にいいものとは具体的に何ですか」程度のプローブが妥当です。

鈴木さんがあげている1~4は「対象者の不完全な発言(ほとんどの発言は不完全)を補う」プローブです。
日常会話ではこれらのことはプローブと意識されずに行われています。
もちろん状況依存的に改めてプローブしなくても「理解」できるのが「会話」ですが。
マーケティングリサーチのインタビュー調査のプローブの目的は、鈴木さんのあげている5と6です。

その時のテーマにそって対象者(グループ)の気づいていないことにも気づかせる。

ことがプローブの本来です。
例えば、
新製品のコンセプトを提示したときに「買いたい」と言った対象者の理由が「どうせなら、健康に‥」だとしたら、しつこくプローブして対象者に

自分はこの新製品が買いたいというというより、世間で健康によいと言われている
「黒酢」というジャンル一般を買いたいだけなんだ。
別にこの新製品でなくてもいいんだ。

と気づかせて、
改めて今回の新コンセプトの特徴に注意を向けさせて評価をとる。
これがマーケティングリサーチのプローブです。

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