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ラダリング法

焦点連鎖とラダリング

焦点連鎖(あるいは焦点推移)は認知言語学の用語です。
規範文法、記述文法、構造言語学、生成文法などの従来の言語学は、コトバの世界を「主体の身体的な経験や主体と外部世界との相互作用からは独立した自律的な記号系の一部」と規定しています。
しかし、生きたコトバの世界は、主体の身体的経験、主体と外部世界との相互作用に根ざす身体性に関わる要因から独立して存在しているわけではありません。
認知言語学は、この種の身体性に関わる要因を言語現象の記述・説明の基盤として日常言語にアプローチするという方法論をとっています。

この認知言語学には、「焦点化、焦点連鎖」という重要な概念があります。
一般にわれわれがある世界を理解していく場合には、その対象世界の際だった部分に焦点をあて、そこでの情報を手がかりにして次の際だった対象を焦点化していくというプロセスをとります。
最初の焦点から次の焦点への推移の時、次の焦点は最初の焦点に規定されます。
これが文脈です。
(以上は、「ことばの認知空間」山梨正明 2004 をほぼそのまま引用)

この焦点化、焦点連鎖はラダリングインタビューのときの対象者と分析者の認知プロセスのアナロジーと考えられます。
新車のモックモデルを見せられて「コッコイイ。先進的。」という印象を持った対象者にその理由をインタビューしていく場面を想定してみます。
対象者は、カッコイイという全体印象(認知)のなかで際だった部分(フロントビュー)に焦点化して「この顔つきがいいんだ。」と認知を深化させます。
最初の焦点化に規定されて、顔つきというコンテクスト(文脈)に規定されて、「顔つき」の中の際だった部分、フロントグリルに焦点を移します。
「このメッシュの模様がしまった顔つきになる」とさらに認知を深化させます。
さらに焦点連鎖が続けば、メッシュ模様の素材感が際だった部分として焦点化されて、「メタリックな材質と黒のカラーが大人っぽい」となります。
これはラダーダウンのプロセスです。
図式化すると以下のようになります。

対象者が、最初にメッシュ模様の素材感を焦点化(際だって認知)すれば、ラダーアップのプロセスになります。
ただ、この場合、素材感が焦点化されコンテクストとなるとラダーダウンの逆方向をたどらずに違うラダー(認知プロセス)になることが想定されます。
つまり、素材感のコンテクストから色への焦点化が起きて、フロントグリルのカラーバリエーションに認知が深化していく方向が想定出来ます。

このように消費者の認知プロセスはダイナミックであり、あらかじめ学習された記号体系の制約はあるものの、より文脈依存性が強いことがわかります。
ラダリングはこのダイナミックなプロセスをラダーという構造でモデル化しようという方法論です。
ラダーを使うときの注意点は、スタティックに考え過ぎず、対象者の焦点化の推移を助けるようなインタビューとダイナミックなラダーを作るようにすることです。

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