アウラの商品群
メタファーインタビュー
I. 方法
資生堂、コーセー、カネボウ、花王の4化粧品メーカーのメーカー(ブランド)イメージを表現する写真を持参してもらい、その写真の世界を語ってもらうことにより、ブランドイメージの構成要素の新しい表現、解釈を抽出した。
さらに、各ブランドのメタファーを最上位概念として、ブランドイメージをラダー(はしご)構造で表現した。
II. 結果
発見されたメタファー
資生堂、コーセー、カネボウの3ブランドに関して「女性の生き方」をメタファーとして表現した。
資生堂は、「凛とした女性」、コーセーは、「手堅く生きる女性」、カネボウは、「無難に生きる女性」である。
資生堂は、「憧れ」の感情が抱かれており、「凛とした」は自己表現的ベネフィットと言える。
コーセーは、「華やかさに欠ける」印象を持たれている。
カネボウは、「保守的」であり、トップに追随できない二番手の印象を持たれている。
花王は、商品パッケージの色やCMのタレントのイメージがそのままブランドイメージとして語られた。
花王と家庭用品の結びつきが非常に強く、化粧品ブランドとしてのイメージの膨らみがなかった。
※自己表現的ベネフィット 自分が思い描くイメージを表現できる方法を得ることによってもたらされる便益。 |
持参したビジュアルから語られた世界 資生堂
ビジュアル(1):新宿の雑踏の中の女性 「気が強そう。人ごみの中で負けないで凛とした感じが気に入った。」 |
ビジュアル(2):丸ビルから見た夜景 「新興IT企業の六本木ヒルズではなく、歴史のある丸の内」 |
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ビジュアル(3):映画「The Cell」のポストカード 「映画は見ていないが、何か惹かれるものがありポストカードを手に取った」 |
ビジュアル(4):砂漠 「赤と黒の色のコントラストがかっこいい。」 |
資生堂のメタファー = 凛とした |
資生堂は、メタファーを用いて次のような「凛とした女性像」が描かれた。
丸の内の金融系会社に勤務するキャリア志向のOL。 自分の意思を明確に持つが故に仕事ではぶつかることも多い。しかし、自分が求めるところを目指し、つっぱって頑張って生きている。 とんとん拍子には出世できないが、いつか必ず認められるであろう実力の持ち主。 恋愛、結婚、出産という型にはまった生き方ではなく、30代で都心にマンションを購入するような自立した女性。 生き方としては決して世渡り上手とは言い難く、不器用なタイプであるが、傍から見ていて格好いい女性である。 |
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持参したビジュアルから語られた世界 コーセー
ビジュアル:仕事帰りのOL 「仕事帰りに六本木ヒルズで映画を見ようとしているシーン」 |
コーセーのメタファー = 手堅い |
コーセーは、メタファーを用いて次のような「手堅く生きる女性像」が描かれた。
大手電気メーカー(SONYか東芝)に勤務するOL。 女性も男性と対等に仕事ができる職場環境である。 仕事は頑張るが、仕事帰りのプライベートも楽しむというバランスの良い生活を送る。 サバサバした性格で、ベタベタしないさわやかな女らしさがある。 将来は社内結婚し、結婚後も仕事を続ける。夫と家事を分担し協力し合って生活する。 新婚当初は社宅に入って貯金をする。貯まったお金で横浜方面(都心や埼玉ではない)にマンションを購入する。 |
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持参したビジュアルから語られた世界 カネボウ
ビジュアル(1):モデル玲奈 「一見SHIHOというモデルに似ている」 |
ビジュアル(2):高校の謝恩会 「どこにでもいる普通の女の子がご飯を食べてピースしている写真」 |
カネボウのメタファー = 無難 |
カネボウは、メタファーを用いて次のような「無難に生きる女性像」が描かれた。
あまり景気に左右されない会社で働く事務職のOL。 上昇志向はなく、「ぬる~く」働き、いづれは寿退社。 自己主張は強くなく、優しい性格で、合コンではモテる。 悪い印象はないが、特別な印象もないため、女性が憧れる存在ではない。 どこにでもいる「フツウ」のOLで、ありふれすぎてつまらない印象もある。 また、トップのマネをするがトップにはあと一歩及ばない「二番手」の女性でもある。 |
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ビジュアルから語られた世界 花王
花王は、商品ブランドから連想するビジュアルが持参された。
■AUBE ビジュアル:緑の葉とベリー系の果実 「若くてみずみずしい女の子のイメージ」 |
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■ソフィーナ ビジュアル:緑の葉とさくらんぼ 「季節は初夏。風が吹いて緑が揺れている。」 |
ソフィーナとAUBEのビジュアルからは、「野暮ったい」、「垢抜けない」などの共通するイメージが連想された。
「田舎の化粧品屋で色あせているポスター」という発言に代表されるように、トレンドと乖離したブランドと認識されている。