アウラの商品群
アイトラッキング
どの「見る」をリサーチするか
リサーチの神学論争Ⅶです。
パッケージやWeb画面の、どこに注目し、どんな要素で識別し、何によって好悪が決まるかはリサーチの大きなテーマです。
リサーチではパッケージや画面を見せて比較させたり、インタビューすることで消費者の識別ポイントや好き嫌いの理由を探ることをしています。
ここで、人間の視覚について今ある知識で考えて見ます。
「網膜(光情報)→脳の視覚野(感覚・意味)→短期記憶(認識・評価)→長期記憶(意識・態度)」という情報の流れは正確ではないかも知れませんが大きく間違っているとはいえないと考えます。
そして、網膜レベルの「見る」をリサーチするのがアイトラッキングでしょう。
最近は対象者に大きな装置をかぶってもらわなくてもすむシステムも開発されているようです。
このアイトラッキングの利点は
- 瞳孔の焦点を機械的に正確に追える
- 対象者の知覚や認知に左右されない(視覚野や記憶からのフィードバックがない)
- だから、意識的には避ける部分への視線も正確にとれる(残酷、反モラル)
- 焦点が留まる時間も計測できる
などで対象(人間)の生物的、生理的反応を把握出来ることです。一方、不利点は、
- 網膜に集まった「光」の焦点がわかるだけで、感覚・意味・認知・評価・意識・態度はわからない
- そこに焦点を合わせた理由はわからない
- 何故、そこを見たのかはインタビューで聞き出すことが困難
などで、網膜から視覚野へ送られる信号が取捨選択されること、視覚野からのフィードバックが「見たい」もの(こと)しか見させないことが考えられます。
視覚野レベルの「見る」をリサーチするのがプロトコル分析といえるのではないでしょうか。
プロトコル分析は「見た」現場の印象感覚を対象に言語表現してもらう手法です。
プロトコル分析の利点は
- 視覚野に到達した情報の印象・評価がわかる(記憶からのフィードバックがない状態)
- 対象が言語表現してくれる。その場でプローブができる
などです。不利点は、
- 対象者に負担がかかる
- 実査現場のコントロールが難しい(店頭や生活現場で実査するのが困難)
- 対象者の言語表現能力に左右される
などがありますが、これにアナログアイトラッキングを加えることで、対象者の負担を減らし、プローブが豊にすることができます。
短期記憶レベルの「見る」をリサーチするのが通常のパッケージテストといえるでしょう。
P案、Q案を提示し、しばらく見てもらってから隠して評価をインタビューする方法です。
この方法の利点は
- 比較評価ができる
- 評価グリッド的なインタビューができる
- 数多くのサンプルをこなせる。アンケート形式にすればWebでも可能
不利点は
- 選択盲の問題がある
- インパクトのある(短期記憶に残りやすい)図柄、色、コトバが強くでる
などです。
最後に長期記憶レベルの「見る」をリサーチするのが既存ブランドの評価となります。
対象者にパッケージや画面の絵を描かせたりする工夫もできます。
この方法の利点は
- 識別ポイントがはっきりわかる
- ロイヤリティの構成要素、嫌われている要素がわかる
- キービジュアルがわかる
などで、不利点は
- 新製品には使えない(使いづらい)
- 記憶によるフィードバック(合理化、論理化)の弊害がでる
などでしょう。
以上の中でも我々はアナログアイトラッキングの方法論の向上を目指しています。